主人が亡くなって4年6カ月経った…。
ひとり残された私は、悲しみに暮れることなく、前を向いて生きている…。
大切な人との死別経験は、私の人生を大きく変えた。
今…
私は、自分でも驚くほど人生を楽しんでいる…。
それは…
大切な人の死を、こんなふうに捉えているからかもしれない…。
死別後の私の感情
大切な人を亡くした後…
悲しさとか孤独とか寂しさとか不安などの感情になるのが普通だと思う。
普通って言うのも変なのかな…。
でも…
私は、主人が亡くなってから、ほとんどそういった感情になったことがない。
それは…
時間が経って、乗り越えたわけでもなく、
主人のことを、大切に思っていなかったわけでもない…。
主人の最期
主人の最期は、癌の痛みで壮絶だった…。
亡くなるまでの19日間は自宅で過ごし、寝室のベッドの上で息を引き取った。
痛みで、もがき苦しむ主人を見るのは、本当につらかった…。
数日の命と知りながらの看病は、本当につらかった…。
そして…
主人の呼吸が止まり、臨終だと聞いた瞬間…
私の張りつめていた気持ちが、一気に緩んだことを覚えている。
「あー、これで、主人はラクになったんだ…。」
「もう痛みもなく、苦しまなくていいんだ。」
そんなふうに思ってしまった…。
たぶん、それは…
あまりにも壮絶な闘病だったので、自分が悲しいとかの感情よりも、主人がラクになったという安心感の方が勝ったのだと思う。
「もう、痛い思いをしなくていいよ…。」
「もう、何の心配もしなくていいんだよ…。」
悲しみよりも…
主人に対して「良かったね…」という気持ちしかなかった。
悲しまない私は、冷たい人間なんだろうか…。
でも…
悲しむという感情は、自分側の感情。
その時は、自分側の感情よりも、主人側の感情ばかり考えていたように思う。
ラクになることができて、良かったよね…。
そして…
亡くなった瞬間、主人は肉体から抜け出たような気がした。
肉体から離れた主人が、鳥のように自由に羽ばたいている姿が頭に浮かんだ。
もう、病気のことを気にせず、どこへでも行けるんだね…。
その時…
これで、良かったんだ…と思えた。
とてつもなく大きな安心感が溢れてきた
そして、亡くなった日の夜…
私は…
そんな安心感とは違った、また別の大きな安心感に包まれていた。
それは…
言葉では、上手く説明し難いけれど
「すべては、大丈夫!」とでも言える、とてつもなく大きな何かに包まれているような、別の安心感だった。
広大で…
頼り切ることができるような…
温かでふんわりとした…
何かの存在に包まれているような感覚になった。
その安心感は、無意識に自然に溢れ出て来た。
私は、それが何の存在なのか、すぐにわかった。
魂の存在になった主人だ!!
一緒にいてくれているんだ!!
私には霊感もないし、そのような死後の世界を信じていたわけでもなかったけれど、はっきりとわかった。
魂になった主人の存在が、確実にわかった。
これからは…
魂の存在として、私と生き続けてくれるんだ!
そんな確信に近い思いは…
当然…
「主人はいなくなった」ではなく「主人はいる」と捉えることになった。
「主人はいる!」のだから、悲しみの感情が湧いてこなかったのだ…。
というか…
「悲しまない。」とさえも思わなかった。
主人からの愛
私は…
そんな強烈な思いを、亡くなったその日の夜から持つことができたのだ。
それは、自分が無理にそう思おうとしたわけでもなく、本当に自然に感じたことだった。
たぶん…
それは…
主人からの私への大きな愛だった…
と、勝手に思っている。
自分の余命を知った主人は、ひとり残されて生きていかなければならない私のことを、ずっと心配していた…。
自分が死んでしまった後の、私のことを…。
弱虫で、すぐに泣く私のことを…。
だから…
主人は…
ひとりで生きていかなければならない私のことまでも考えて、あんな亡くなり方をしてくれたのかな
…なんて思ったりもする。
もし…
主人が元気な時に突然亡くなっていたとしたら、こんなふうに思うことのできる私はいなかったかもしれない。
わからないけど‥‥。
私の思い
だから…
主人は、魂の存在となって、私と生き続けているから、私の中で悲しいとか寂しいとか感じないのだ。
私が死ぬまで、ずっと一緒にいてくれると思っている。
そんなことを人に言うと…
「そんなに引き止めたら、ご主人さん、成仏できないよ。」
「ご主人さんの魂は、もう次の肉体で生まれ変わっているよ。」
なんて言われることもある。
そんな意見に反論するつもりはないけれど…
本当の死後の世界のことなんて、誰も知らない。
だから!
私はこう信じる!!
亡くなった人は…
魂の存在となり、この世に残した大切な人と生き続けている。
そう…
こちら側からは見えないけれど、一緒にいるのだ!!
「いなくなった」ではなく「いる」のだ!
そう信じることで、私は、前向きに生きていくことができている!
自分本位の考え方かもしれない…
でも…
そう思えていることに、毎日感謝している…。
だって!
こんなにも前向きに生きていくことができているのだから…。
私は…
これからも、亡くなった大切な人と一緒に「生きる」を楽しむ…。