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自宅で看取る覚悟

入院中の主人の余命が、あと一ヶ月であることを宣告されて、退院させていただくことを決めました。

あと一ヶ月だなんて・・・・。

あと一ヶ月だなんて・・・・。

余命宣告された時のことは、こちらを読んで下さい。

入院中は、コロナ感染対策のため、家族でも面会することができませんでした。

余命が一ヶ月ということを宣告されて、私はためらうことも悩むこともなく、主人を家に連れて帰ろうと思いました。

最期は・・・・

残された大切な貴重な時間は・・・・

住み慣れたこの家で、家族みんなで過ごそう・・・・。

このまま入院したままだと、医療面では安心だけれども、残された時間を主人と一緒にいることができません。自分の余命を知った主人を、病室で一人にしておくわけにはいけない!!

仕事をしていた私は、急遽長期お休みをいただくことにして、できる限り主人と一緒にいようと思いました。

住み慣れた家で、家族みんなで看取る覚悟・・・・をしました。

とにかく、残された時間を、共に過ごす!!

最期は、住み慣れた家で過ごさせてあげたい!!

そして、私たち家族も主人と一緒にいたい!!!!

家にいる間、少しでも快適に、少しでも楽なように、少しでも主人の笑った顔が見れるように・・・。

この家で、この家族で看取る!!!

そんな覚悟ができていました。

在宅看護の知識も何もないままに・・・。

closed white wooden door near brown desk

退院して在宅看護へ

余命一ヶ月というあまりにも短い日数をつきつけられたおかげで、在宅看護の大変さや難しさなどを不安に考える間もなく、すんなりと在宅看護をすることを選ぶことができた事は、今振り返れば良かったと思っています。本当に、何も考える間もなかった・・・・。

結局、主人がこの大好きな家で過ごせたのは、19日間でした・・・。

この19日間は、主人にとっても私たち家族にとっても、非常に濃い時間となりました。みんなの心に刻み込まれた、言ってみれば、ありがたく一生忘れることのない主人との時間でした・・・。

最期まで自分の信念を貫いた主人の19日間のことは、こちらを読んで下さい。

在宅で看護しながら、主人の「死」に寄り添うことができた19日間・・・・。

もし、あのまま入院したままで、病室で旅立っていたとしたら・・・

たぶん・・・

主人の死を、こんなに前向きに捉えることはできていなかったと思います。

私の死の捉え方は、こちらを読んで下さい。

あの共に過ごした19日間があったことで、残された私たち家族は、死をきちんと受け入れることができて、穏やかな気持ちで主人の最期を看取ることができたように思います。

もっとしてあげることは他にもたくさんあったと思いますが、私たちは後悔のない看取りができたと思っています・・・それは、すべてに、ありがたく感謝しかありません。

19日間という短い期間だったから、みんなで在宅看護ができたと思います。もし、一年間だったとしたら、また状況も気持ちも変わっていると思います。

私や子供たちが、気持ちの整理ができるようなちょうどいい期間を与えてくれて、そして亡くなった主人・・・

家族思いの主人らしい・・・・

主人への最期の言葉は、やはり「ありがとう。」だな・・・・

本当にありがとう。

私と出逢って、私を選んでくれて、素晴らしい家族を残してくれて・・・ありがとうね。

サポートが心強かった在宅看護

在宅看護を選んだ途端、あらゆることが慌ただしく進んで行きました。

これからは、がんセンターの主治医だった先生から、訪問看護のお医者様に担当が変わることになります。

2年間お世話になったがんセンターのN先生にご挨拶にお伺いした時、寂しい気持ちになりました。

今まで、主人が元気になることに向けて、一緒に考え治療して下さったN先生・・・。

抗がん剤のひどい副作用の時も、先生とお話すると安心したりしたなあ・・・

抗がん剤が効いた時には、一緒に喜んで下さったなあ・・・

でも、もうお会いすることもないのかな・・・

今まで、本当にありがとうございました。忘れません・・・・。

その時点ですでに、がんセンターの相談員のMさんが、訪問看護の病院をいくつか探して下さっていたことには驚きました。そして、地域役場の介護課や、ケアマネージャーさんにも連絡をとって下さっていました。

相談員のMさんは、主人のことはもちろん、私のこともよく気にかけて下さって、ずいぶん励まして下さった方です。病棟に行っても主人と面会することもできず、談話室で何をするわけでもなく座っていた時も、声をかけて下さり、ついつい大泣きしてしまったこともありました。いつも親身になって心配して、そして励まして下さっていたなあ・・・。ありがとうございました・・・。

そして、ケアマネージャーさんからは、福祉用品のレンタル業者の担当の方に連絡がとられ・・・

訪問看護の病院からは、訪問看護ステーションの看護師さんに連絡がとられ・・・

さらに、医療器具のレンタル業者さんにも連絡がとられ・・・

私の知らないところで、主人に対するサポート体制が次々と、とられていました・・・すごかった!!

そして、何かあった場合、もう一度がんセンターにも入院できるように、緩和ケアの先生にも、お話をつないでいただきました。

一人ではない!

たくさんのプロの集団の方が、主人をサポートしてくださるようで、本当に心強かったです。

とにかく、すごいスピードで、在宅で看護できるように準備が進んで行ったのです。

たぶん、余命が一ヶ月だったからだとも思いました・・・。

素晴らしかった訪問看護

在宅看護が始まり、すべてが初めてのことばかりで、これからどんな毎日になるかも想像できなかったけれど、何とかなると思えたあの頃でした・・・。

何か変わったことがあれば、訪問看護ステーションに連絡すれば、看護師さんが本当にすぐ来て下さって、その都度、病院と連絡をとりながら対応して下さっていました。

そして、一日に一度は病院の先生が来て診察をして下さる・・・。

訪問看護をして下さる病院の先生はもちろん、来て下さる看護師さんの対応ぶりは素晴らしいものでした。てきぱきとした仕事ぶりで、病院でしていただく処置をそのまま自宅でして下さる・・・。いや、それ以上かも。

「今日は、時間があるから、足のマッサージをしておきますね。」と、長い時間、主人の足を擦って下さったりしていたなあ・・・懐かしい。

時には、プライベートのお話もしながら・・・。

容態が悪く、電話をして来て下さった時の安心感は今でも覚えています・・・。

本当に、天使が来て下さったように思えるくらい、心強かったです。

あんなに大変なお仕事を、当たり前のようにしている皆さんに、心から感謝し尊敬をしました。

皆さんのおかげで、何の知識もない私でも在宅看護ができたと思っています。

いつも思います・・・

主人は、周りの方に本当に恵まれているなあ・・・と。

主人に関わって下さった皆さん、本当に信頼できて、温かい気持ちの素晴らしい方ばかり!!

ありがとうございました・・・。

住み慣れた家で最期を過ごすということ

主人の好きな風景がベットから見える部屋

家族や私との思い出の写真をたくさん飾ってある部屋

主人が置いてほしいと言った観葉植物のある部屋

主人のベットのとなりには私のベット

好きな音楽の流れる主人の部屋

家族の声が聞こえる部屋・・・・

住み慣れた家で過ごせたこと・・・・主人は幸せだったかな・・・。

そんなリラックスできる空間で、主人と最期まで一緒に過ごすことができたことは、残された私たちにとっても良かったことでした。

足や手を擦ってあげたり、頭から吹き出る汗を拭き続けたり、熱さまシートを常に取り替えたり・・・。私ができることは、本当に限られていたけれど・・・ずっとそばにいることはできました。

死の近くなった主人が「怖いから、手を握っておいて。」と言っていたことを思い出しました・・・・。

大好きな家から旅立ったこと・・・・よかったよね・・・。

家で看取る

19日間という短い間だったので、私も疲れたと思う間もなく、その日その日を、精一杯過ごした感じでした。息子も、仕事を数週間お休みしてくれて、私のサポートをしてくれて、本当に助かりました。「死」を意識しながら過ごした19日間、父親のかっこいい死に際を見たこと・・・それは、後に、息子の人生観に影響を及ぼすほどの出来事だったとのことでした。

やっぱり、主人は常に私たち家族のことを考えていた・・・。

みんながしんどい思いをしないように、みんなが悲しまないように、そしてみんなが幸せに思えるような形で、亡くなってくれたように思います。

残された私たちが、19日間という間に、同じ時間と気持ちを共有できたことは、家族の絆が今まで以上に強くなりました。主人のおかげです・・・。

家で看取れたこと・・・すべて良かった・・・・よね。

今日も、魂に戻った主人は私たち家族と一緒に生き続けています!!!


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